早速ブログ
うむ何々
今日の一枚

「秋の新宿御苑」
秋の新宿御苑、何故か趣味のカメラマンが多い。たいてい持っているカメラはデジタルの一眼レフ。レンズも大きくて高価そう。花に寄ってくるおっきな蜂なんか絶好の被写体みたいで、ぐっと近寄って、ご年配の男の人が撮っている。「いいのが撮れましたか」
むかしむかし、私が22歳くらいの頃、働いてやっと一眼レフカメラが買えました。カメラは「ペンタックスSP」TTL絞り込み測光による露出計を内蔵した一眼レフカメラです。露出計を内蔵した構造は当時は新しいことで、シャッター速度と絞りをカメラが教えてくれました。自動化の大きな進歩の一つと思います。それ以前のカメラはシャッター速度と絞りを自分で考えて合わせなくてはならず、間違えると写真は失敗しました。このカメラは誰でも、ほとんど失敗なく写せました
休日は、このカメラを持って外出し、すごくたくさん写し回りました。のめり込んだあまりカメラマンになりたいと思ったくらいです。カラーでプリントすると一枚60円くらいかかります。安月給の当時の私はいつも金欠でピーピーしてました。私の写した写真を行きつけの「お好み焼き屋」に頼んで、壁に飾らしてもらったこともありました。
そんなある時、同年代の友達の友達が「ニコンF」と言うカメラを持って私の前に現れました。それはプロ用のカメラで、同年代の若者が買えるなんて思ってもいませんでした、たいそう高価でした。私の前で彼はよくカメラを掃除したり磨いたりしてました。私はうらやましかったなあ。
しかし、そんな彼でも買いたいカメラが有りました「ニコンF2フォトミック」です。私たち二人で「良いなあ、欲しいなあ」このカメラは当時、発売されたばかりのプロ用高級カメラでした。彼のカメラ「ニコンF」の後継機でした。機能美が有り、時代の象徴の一つだったのではないでしょうか。シャッターを切るとき「パシャンッ」というシャッター音とカメラから手を通して身体に伝わる振動が何とも言えず気持ちの良いものでした。それはカメラ内にある鏡の開閉とフォーカルプレーンシャッターの動く音でした。今のデジタル一眼レフカメラには構造上あり得ない瞬間です。青春真っ最中の私はこのカメラを持ってデートができたら「最高に格好が良いのに」と思ってました。
実は最近この「ニコンF2フォトミック」を買ったのです。「キタムラ」で、勿論中古です。数万円で売っていました、当時からしたら考えられない安い値段。それは22歳の私が、将来、お金ができたら絶対買おうと思ったことが実現した瞬間でした。それほどあこがれのカメラでした。今、あの頃を思い出しながらカメラをさわってます。当時の町をこのカメラを持って歩いている自分を想像して。
秋の木々新宿御苑はせいくらべ